2013年2月22日金曜日
日英言語文化小論(9)【所望】
■「所望(しょもう)」とは、「願いごと、願い出ること」といった意味である。身近な生活の場面で、この表現を耳にすることは珍しくなってしまったが、茶の湯の世界でしばしば用いられる。特に客[茶をいただく側]が、亭主[点前をし、茶を差し出す側]に希望を伝える場合に使うことがある。例えば、少しくだけた雰囲気の薄茶点前であれば、茶をいただいた後に「白湯」をいただきたい場合、「白湯」を「所望」することができる。過日取り上げた「お煮えがよろしいようですので、お白湯でもいかがでしょうか・・」と亭主側から申し出ることもあれば、客側から申し出る、すなわち「所望」することもある。実際、亭主と客との対話の中で、亭主が「釜の湯は・・の水より」などと触れた際には、せっかくのお心遣いを「察し」て、「白湯」を「所望」するのも、茶の湯の世界における「(気)働き」の1つと言えよう。
なお、「所望」は現代日本語では、堅い表現に相当するが、英語では、requestや単に"I would like to have ~"あたりでよいであろう。"I would like to ask you for ~"でも可能だ。■
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