■旅箪笥・・・おそらく日常生活でこの言葉を耳にすることは少ないであろう。これは、茶道具の1つで、「・・小田原の役に従軍の際、旅持ちの茶箪笥として創案されたとする」とある。(『茶道大辞典』、淡交会刊、2010年、p.726.)炉、風炉用の(簡易)棚の一種であるが、これを用いた点前稽古は、なぜか年1回するか、しないかというものである。それにしても、緊迫する戦場でも茶を所望できるよう、こうした茶道具を準備させておくとは、豊臣秀吉と千利休の泰然自若な姿が目に浮かぶ。■
※「泰然自若」とは、「落ち着き払っていて物に少しも動じないさま」という意。(『岩波国語辞典第七版新版』、岩波書店刊、2011年、p.882.)