2014年3月2日日曜日
茶の湯のことば―一汁三菜
■前回、茶の湯の基本は茶事であり、初座(前半部)で懐石料理をいただく。その懐石は、かつては数種類の膳が出される本膳料理や、その後の茶懐石料理に影響を与えた精進料理をともなうことがあったようだが、(村田)珠光、武野紹鴎、千利休へとつながる草庵茶、侘び茶への流れの中で、一汁三菜を中心とする茶懐石が確立されていった。
現在裏千家では、最初の膳として、折敷の手前左に(ゆるめに炊いた)飯、その右に汁物を、その向こう側に生魚等の造り(鱠)の小鉢(「向付」)を三角形になるように置く。その後出される、煮物椀(欧米料理のメインディッシュに相当)と焼き物(魚介類が多く、客人数分を盛り合わせる)を合わせて一汁三菜と呼ぶ。続けて、箸先を清める意味の吸い物(「箸洗」)、酒の肴を二種程度を八寸サイズの盆に盛り付けた八寸、香の物(漬物)が出され、飯釜のコゲを湯漬けした湯桶で最後となる。なお、最初の膳を出し、亭主は客に酒を一献(一杯)すすめ、箸洗のあとに八寸を出し、さらに酒をすすめるということからも、(茶)懐石と酒の結びつきは強いようだ。現在でも用いられている献立(メニュー)とは、一献(酒を一杯すすめる)を立てる(仕込む、作り上げる)ものということである。つまり、酒をすすめるための肴類ということになろう。そこから、(酒の肴を含む)料理全般の一覧を指すようになったと考えられる。■
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