今日Michael Jacksonの公開限定映画"This is it"に関する記事の話をした。その中で、彼に対する評価にflawlessというのがあった。そもそもflawとはdefectやfaultと同義であり、それらがないことがflawlessにあたる。つまり、彼のパフォーマンスは「欠陥や傷ひとつない」、「非の打ちどころがない」という意である。この場合、perfectではなく、flawlessを用いることで、彼の音楽に対する感性のすばらしさ、完璧なまでの姿勢等を強調する意図を示そうとしたのであろう。科学のように完全な姿、形がない音楽界において、このような賞賛を受けることはきわめて稀有であろう。
なお、映画のタイトル"This is it"の意味も気になるところだ。一般に、itは漠然と話題の対象を指し、「これがそうである」、「まさにこれである」等で理解されていると思う。当初彼が記者会見の場でこの表現を使った際には、「これで終わりだ」(ロンドンでの公演を集大成にして、音楽活動を最後にする、ということ)の意味でとらえられていたようだが、映画のタイトルでは、「さあ、これからだ」(これが私のパフォーマンスだ、さあ、どうだ、ということ)のようなニュアンスになっていた。itが漠然としたことを指す限り、彼本人しかその真意はわからないのであろう。
ちなみに買い物などをして、ほかに買うものがないときにはレジで"That's it"「それで全部です」という。また、講義が終わる際にも、教員は"That's it for today"「今日の授業はこれでおしまいです」などという。この場合、前者であれば、買い物商品全体を、後者であれば講義内容全体をそれぞれ漠然と指してitを用いている。