2020年6月22日月曜日

コロナ禍の英語表現

これまで世界的に不可思議と捉えられている日本のコロナ対策への評価に触れてきたが、その一方で、アメリカ・ミネアポリスでのいわゆる“白人”警官による”黒人”市民への過剰な拘束とそれに起因する死亡事件に対する一連の抗議行動が世界的な広がりを見せている。これまでも、アメリカでは、さまざまな人種対立が行われてきた。しばしばmelting potと形容されるように、アメリカは多種多様な人種が共存している。それこそがアメリカの強みであるとともに、今回のような弱さにもつながっていると言える。現在コロナウィルス感染者数世界一位はアメリカであり、さらなる感染防止策がとられるべき状況の中で、このような人種問題に関連する事件が発生したことは、アメリカ国内の分断を招き、統一されるべきコロナウィルス感染防止への取り組みをも分断させてしまうであろう。実際、オクラホマ州タルサで行われたトランプ大統領の遊説演説では、その抗議行動に対抗するようなwhite backlash的なエネルギーにも加勢されたのか、参加者はコロナ禍であることを忘れてしまったかのようだ。下記の画像を見ると、(日本的に言うならば)3密状態にもかかわらず、ほとんどがマスクすらしていない様子が窺える。

[USAToday  June 20, 2020]

今回のミネアポリスでの事件に端を発する一連の抗議運動は、"Black Lives Matter" movementと称されている。

In the last two weeks, American voters’ support for the Black Lives Matter movement increased almost as much as it had in the preceding two years.
[New York Times  June 10, 2020]

これまでにも”白人”警官による”黒人”市民への過剰な対応は社会問題となってきた。1992年のロスアンゼルスでは、同様の事件がテレビで放映されると瞬く間に暴動へと発展した。そして、2013年のフロリダでの”黒人”少年への射殺事件以降、Black Lives Matterが隆盛してきたと言える。通常抗議運動のスローガンとしては、(ハイフン付き)複合語的にBLM[Black-Lives-Matter]として扱われるが、意味的には、Black lives(”黒人”の命)も”白人”や他の人種と同様に、Matter「大切である」、すなわち、”黒人”の命を(人種差別的に)軽視してはならないということが含意されている。その一方で、Law and Order(法と秩序)を忠実に順守しているだけだと(”白人”側の)警察の人権を支持する、反BLM運動と言える、Blue Lives Matterもある。(この場合のBlueは、警察官が着用する制服の色に由来すると考えられる。)なお、こうした社会運動に対抗する形の抗議行動のことをcountermovementと言う。

[trussvilletribune.com  June 12, 2020]



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