新型ウィルスの世界的感染により、公衆衛生に対する意識はこれまで以上に高まったと言える。日々の生活においても、手洗い、消毒、マスク着用、うがい、清掃は自分のみならず社会全体の責任であろう。いっときマスクが品薄であったころに、ドラッグストアやコンビニに入っては、まずマスク売り場で在庫チェックするのがルーティーン化したことがあった。そのおかげでか、いろいろな種類のマスクを入手することができた。
マスクが入手しやすくなった今では、アルコール消毒液に目がいくようになった。現在それほどアルコール消毒液の入手は困難ではない。ただし、それは日本製以外のものを含めての話ではある。日本製で言えば、消毒用エタノール業界のトップメーカーである健栄製薬の「手ピカジェル」などはその代表的商品としてご存じであろう。また、医療機関や教育機関であれば、アルボース社の「アルボナース」やサラヤ社の「ヒビスコール」などが有名である。これらの日本製トップブランドの商品は、まだまだ品薄が続いている。(入手可能の場合は、たいてい高額販売されている)
ところで、サラヤ社の「ヒビスコール」の由来が気になっていたのだが、たまたまネット検索していると、それに関連する情報にたどりつくことができた。以下がその由来のようである。
High「高級な」(カタカタ読み)
Bis「2つ:殺菌剤とエモリエント剤の2つの成分を示す」(化学用語)
Alcohol「アルコール:速乾性成分を示す」(英語の発音では/h/の音を出す)
[https://med.saraya.com/products/pdf/42133interview.pdf]
つまり、「高級な殺菌成分と保湿成分を含有するアルコール」というような意味になろう。これこそが、サラヤ社の「ヒビスコール」の由来である。
商品名の由来は実に興味深い・・・。
2020年6月23日火曜日
コロナ禍の英語表現(2)
緊急事態宣言が解除され、先週末には「都道府県をまたいだ移動の自粛」も解除されたことにより、行楽地はかなりのにぎわいであったようだ。感染拡大防止策が継続される中での経済活動の再開である。引き続き気を引き締めて行動したいものである。
これまでの、我が国の基本的な感染防止策としては、「3密を避ける」がよく聞かれるが、欧米では、"Do the FIVE"がよく使われている。これは、以下の画像が示す通り、基本的な新型コロナウィルスの感染防止策である。
1. Hands:手をよく洗おう
2. Elbow:咳をするときは肘で口をおさえよう
3. Face:顔を(やたらと)触らないようにしよう
4. Space:ソーシャルディスタンス(安全な距離)をとろう
5. Home:できる限り家にいよう
この中でも2の「咳をするときは肘で口をおさえよう」は、欧米的な発想と言える。次の中央の画像がよく表している。
いわゆる肘を曲げて、曲げたところに口をあてて咳をするというものである。確かにこれであれば、手にウィルスが付着することを避けられる。
これらの防止策をとりながら、引き続き公衆衛生に配慮した生活をすすめていきたいと思う。
これまでの、我が国の基本的な感染防止策としては、「3密を避ける」がよく聞かれるが、欧米では、"Do the FIVE"がよく使われている。これは、以下の画像が示す通り、基本的な新型コロナウィルスの感染防止策である。
1. Hands:手をよく洗おう
2. Elbow:咳をするときは肘で口をおさえよう
3. Face:顔を(やたらと)触らないようにしよう
4. Space:ソーシャルディスタンス(安全な距離)をとろう
5. Home:できる限り家にいよう
この中でも2の「咳をするときは肘で口をおさえよう」は、欧米的な発想と言える。次の中央の画像がよく表している。
いわゆる肘を曲げて、曲げたところに口をあてて咳をするというものである。確かにこれであれば、手にウィルスが付着することを避けられる。
これらの防止策をとりながら、引き続き公衆衛生に配慮した生活をすすめていきたいと思う。
2020年6月22日月曜日
コロナ禍の英語表現
これまで世界的に不可思議と捉えられている日本のコロナ対策への評価に触れてきたが、その一方で、アメリカ・ミネアポリスでのいわゆる“白人”警官による”黒人”市民への過剰な拘束とそれに起因する死亡事件に対する一連の抗議行動が世界的な広がりを見せている。これまでも、アメリカでは、さまざまな人種対立が行われてきた。しばしばmelting potと形容されるように、アメリカは多種多様な人種が共存している。それこそがアメリカの強みであるとともに、今回のような弱さにもつながっていると言える。現在コロナウィルス感染者数世界一位はアメリカであり、さらなる感染防止策がとられるべき状況の中で、このような人種問題に関連する事件が発生したことは、アメリカ国内の分断を招き、統一されるべきコロナウィルス感染防止への取り組みをも分断させてしまうであろう。実際、オクラホマ州タルサで行われたトランプ大統領の遊説演説では、その抗議行動に対抗するようなwhite backlash的なエネルギーにも加勢されたのか、参加者はコロナ禍であることを忘れてしまったかのようだ。下記の画像を見ると、(日本的に言うならば)3密状態にもかかわらず、ほとんどがマスクすらしていない様子が窺える。
今回のミネアポリスでの事件に端を発する一連の抗議運動は、"Black Lives Matter" movementと称されている。
In the last two weeks, American voters’ support for the Black Lives Matter movement increased almost as much as it had in the preceding two years.
これまでにも”白人”警官による”黒人”市民への過剰な対応は社会問題となってきた。1992年のロスアンゼルスでは、同様の事件がテレビで放映されると瞬く間に暴動へと発展した。そして、2013年のフロリダでの”黒人”少年への射殺事件以降、Black Lives Matterが隆盛してきたと言える。通常抗議運動のスローガンとしては、(ハイフン付き)複合語的にBLM[Black-Lives-Matter]として扱われるが、意味的には、Black lives(”黒人”の命)も”白人”や他の人種と同様に、Matter「大切である」、すなわち、”黒人”の命を(人種差別的に)軽視してはならないということが含意されている。その一方で、Law and Order(法と秩序)を忠実に順守しているだけだと(”白人”側の)警察の人権を支持する、反BLM運動と言える、Blue Lives Matterもある。(この場合のBlueは、警察官が着用する制服の色に由来すると考えられる。)なお、こうした社会運動に対抗する形の抗議行動のことをcountermovementと言う。
[USAToday June 20, 2020]
今回のミネアポリスでの事件に端を発する一連の抗議運動は、"Black Lives Matter" movementと称されている。
In the last two weeks, American voters’ support for the Black Lives Matter movement increased almost as much as it had in the preceding two years.
[New York Times June 10, 2020]
これまでにも”白人”警官による”黒人”市民への過剰な対応は社会問題となってきた。1992年のロスアンゼルスでは、同様の事件がテレビで放映されると瞬く間に暴動へと発展した。そして、2013年のフロリダでの”黒人”少年への射殺事件以降、Black Lives Matterが隆盛してきたと言える。通常抗議運動のスローガンとしては、(ハイフン付き)複合語的にBLM[Black-Lives-Matter]として扱われるが、意味的には、Black lives(”黒人”の命)も”白人”や他の人種と同様に、Matter「大切である」、すなわち、”黒人”の命を(人種差別的に)軽視してはならないということが含意されている。その一方で、Law and Order(法と秩序)を忠実に順守しているだけだと(”白人”側の)警察の人権を支持する、反BLM運動と言える、Blue Lives Matterもある。(この場合のBlueは、警察官が着用する制服の色に由来すると考えられる。)なお、こうした社会運動に対抗する形の抗議行動のことをcountermovementと言う。
[trussvilletribune.com June 12, 2020]
2020年6月1日月曜日
コロナ禍の対日評価(7)
アジアでの評価も欧米と似ている。香港を中心とするAsia Timesでは、以下のような指摘がある。
There does not appear to be one single reason why the pandemic has hit Japan less hard than other comparable countries and trying to pinpoint possible causes has become a favorite sport on social media. High levels of hygiene and general health, removing shoes indoors, widespread masks, bowing as a greeting rather than shaking hands or kissing: all have been advanced as possible reasons, but analysts agree there has been no silver bullet.
There does not appear to be one single reason why the pandemic has hit Japan less hard than other comparable countries and trying to pinpoint possible causes has become a favorite sport on social media. High levels of hygiene and general health, removing shoes indoors, widespread masks, bowing as a greeting rather than shaking hands or kissing: all have been advanced as possible reasons, but analysts agree there has been no silver bullet.
[Asia Times May 25, 2020]
日本が感染拡大を抑え込んでいる理由として、高い衛生意識、日々の健康への気遣い、室内で靴を脱ぐ習慣、日頃からのマスクの着用、ハグやキスではなく、お辞儀による挨拶などが挙げられており、欧米の評価とほぼ同じ見方をしている。
Yet the curve has been flattened, with deaths well below 1,000, by far the fewest among the Group of Seven developed nations. In Tokyo, its dense centre, cases have dropped to single digits on most days. While the possibility of a more severe second wave of infection is ever present, Japan has entered and is set to leave its emergency in just weeks, with the status already lifted for most of the country and likely to exit completely as early as Monday (May 25).
[Bloomberg May 23, 2020]
出所はアメリカBloombergであるが、アジア系の特派員であり、一橋大学卒の経歴をもつ方の記事ということで取り上げた。ここでも、他国、特に先進7カ国と比べて緩い要請レベルの日本式ロックダウンでも、感染者数がほぼ横ばいになったことを報告している。
コロナ禍の対日評価(6)
イギリスの有力紙ガーディアンは、続けて以下のような評価をしている。
Despite criticism of the government’s initial response to the outbreak, Japan appears to have contained the virus through a combination of cluster tracing, the closure of public places, bans on mass gatherings such as sports events, and a communal effort to avoid the three Cs.
ここでも、安倍政権の初動対応への否定的な評価を取り上げながら、クラスタ対策、店舗や施設への休業要請、そして3密対策が効果的に機能していたという見方となっている。
Japan did not impose the kind of lockdown seen in Britain and other parts of Europe, but encouraged companies to allow employees to work remotely and bars, restaurants and other small business to close or restrict opening hours. People were asked to avoid unnecessary outings, but there were no fines or other penalties for non-compliance.
ここでは、罰金等なしに、ヨーロッパ諸国のような都市封鎖を実施することなく、企業へのテレワークの推奨や、飲食店等に営業時間の短縮を要請だけに留めたことを指摘している。また、国民も不必要な外出の自粛を求められ(実行し)たことに、やや驚きとともに報じている。
Despite criticism of the government’s initial response to the outbreak, Japan appears to have contained the virus through a combination of cluster tracing, the closure of public places, bans on mass gatherings such as sports events, and a communal effort to avoid the three Cs.
[The Guardian May 25, 2020]
※以下、同じ。
ここでも、安倍政権の初動対応への否定的な評価を取り上げながら、クラスタ対策、店舗や施設への休業要請、そして3密対策が効果的に機能していたという見方となっている。
Japan did not impose the kind of lockdown seen in Britain and other parts of Europe, but encouraged companies to allow employees to work remotely and bars, restaurants and other small business to close or restrict opening hours. People were asked to avoid unnecessary outings, but there were no fines or other penalties for non-compliance.
ここでは、罰金等なしに、ヨーロッパ諸国のような都市封鎖を実施することなく、企業へのテレワークの推奨や、飲食店等に営業時間の短縮を要請だけに留めたことを指摘している。また、国民も不必要な外出の自粛を求められ(実行し)たことに、やや驚きとともに報じている。
コロナ禍の対日評価(5)
さらに、次のような日本の新型ウィルス対策を評価をする記事がある。
But today, Japan can make a strong case for being another coronavirus success story, albeit one that has failed to resonate globally in the same way as those in South Korea, Hong Kong and Taiwan.
台湾、香港、韓国の事例のように、国際的に合理的と評価されているわけではないが、日本も新型ウィルス対策の成功事例として捉えらえていることが窺える。
Japan has skirted a coronavirus surge with room to spare, after new cases slowed markedly when Abe, who does not have the legal powers to declare a European-style lockdown, called on people to beat the virus by avoiding the “three Cs”: confined and crowded spaces, and close human contact.
The Abe administration has gained few political dividends for its response; instead, most plaudits have gone to the quiet determination shown by the public, armed with virus-challenging habits formed long before the pandemic.
ここでは、安倍政権の対応は国民にはそれほど効果的には捉えられていない点を指摘するとともに、3密や感染拡大防止のための入念なコロナウィルスへの対策にむけた決意が国民の中で固まっていたと指摘している。このあたりは、数々の自然災害を経験し、それをその都度乗り越えている日本の(ここでは言語的に表記されてはいないが)resilienceとその経験に基づくpreparationを評価しているとも読める。
Masks are a common sight during the winter flu season, and in spring among people with hay fever. The custom of bowing rather than shaking hands or hugging, generally high standards of personal hygiene, and the removal of shoes when entering homes have all been held up as possible explanations for Japan’s low infection rate.
具体的には、例年の風邪・インフルエンザ、花粉対策によるマスクの着用、挨拶としてのおじぎの習慣、日常の(高い)衛生意識、室内では靴を脱ぐを生活様式等が感染率を抑えている要因と見ている。
Experts have pointed to universal healthcare, low obesity rates and expertise in treating pneumonia. More fanciful theories have gained traction – the consumption of foods, such as natto, that boost the immune system and, according to an unscientific experiment conducted by a TV network, the relatively low number of airborne droplets generated by spoken Japanese.
このexpertsが日本人で、それを英訳しているだけかもしれないが、国民皆保険制度や低い糖尿病率なども(死因となる)肺炎などの重症化を未然に防いでいる点も評価している。
イギリスの有力紙Guardianにおいても、安部政権の対応はそれほど評価しているわけではなく、国民ひとりひとり規律や他者との調和を守ろうとする意識や、それらを含めての文化的特性がこれまでの感染拡大を抑えている要因として挙げられているようだ。
But today, Japan can make a strong case for being another coronavirus success story, albeit one that has failed to resonate globally in the same way as those in South Korea, Hong Kong and Taiwan.
[The Guardian May 22, 2020]
※以下、同じ。
台湾、香港、韓国の事例のように、国際的に合理的と評価されているわけではないが、日本も新型ウィルス対策の成功事例として捉えらえていることが窺える。
Japan has skirted a coronavirus surge with room to spare, after new cases slowed markedly when Abe, who does not have the legal powers to declare a European-style lockdown, called on people to beat the virus by avoiding the “three Cs”: confined and crowded spaces, and close human contact.
The Abe administration has gained few political dividends for its response; instead, most plaudits have gone to the quiet determination shown by the public, armed with virus-challenging habits formed long before the pandemic.
ここでは、安倍政権の対応は国民にはそれほど効果的には捉えられていない点を指摘するとともに、3密や感染拡大防止のための入念なコロナウィルスへの対策にむけた決意が国民の中で固まっていたと指摘している。このあたりは、数々の自然災害を経験し、それをその都度乗り越えている日本の(ここでは言語的に表記されてはいないが)resilienceとその経験に基づくpreparationを評価しているとも読める。
Masks are a common sight during the winter flu season, and in spring among people with hay fever. The custom of bowing rather than shaking hands or hugging, generally high standards of personal hygiene, and the removal of shoes when entering homes have all been held up as possible explanations for Japan’s low infection rate.
具体的には、例年の風邪・インフルエンザ、花粉対策によるマスクの着用、挨拶としてのおじぎの習慣、日常の(高い)衛生意識、室内では靴を脱ぐを生活様式等が感染率を抑えている要因と見ている。
Experts have pointed to universal healthcare, low obesity rates and expertise in treating pneumonia. More fanciful theories have gained traction – the consumption of foods, such as natto, that boost the immune system and, according to an unscientific experiment conducted by a TV network, the relatively low number of airborne droplets generated by spoken Japanese.
このexpertsが日本人で、それを英訳しているだけかもしれないが、国民皆保険制度や低い糖尿病率なども(死因となる)肺炎などの重症化を未然に防いでいる点も評価している。
イギリスの有力紙Guardianにおいても、安部政権の対応はそれほど評価しているわけではなく、国民ひとりひとり規律や他者との調和を守ろうとする意識や、それらを含めての文化的特性がこれまでの感染拡大を抑えている要因として挙げられているようだ。
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