2012年8月28日火曜日

引き出物の重み


 昨日の投稿で、日本における「引き出物」の由来に簡単に触れたが、北米大陸の英語文化圏においても、主人[花嫁花婿]が客人[友人等]に対して感謝の気持ちの1つとして品物を贈る習慣がある。英語では、favor(s)がそれにあたる。そのfavor(s)には、主に「親切、好意、好み」等の意味があり、語源的には16世紀ごろから、「好意のしるしとする物」に対しても用いられるようになったという説がある。
 先日の友人の結婚式でいただいた引き出物の1つが(お二人のお心遣いを感じる)ボールペンであったが、日本では、そうした筆記具をはじめ、男性向けには文具関係、女性向けにはジュエリーなどの小物入れなどに人気が集まっているようだ。その他、男女問わず喜ばれるグラス、(マグ)カップ、プレート[小皿]、写真立てなども選ばれることが多い。
 英語文化圏のアメリカやカナダでも、同様の傾向がある。デザインなど細部に違いはあるものの、(ワイン)グラス、カップ、プレート、写真立ては常に売れ筋の上位である。その他、ワインなどの保存用栓・ボトルストッパーや栓抜き・カンオープナーも人気だ。ただ、新婚の二人の優しさ、喜びなどを表現したハート等のデザインがあるものが多い。


 上記商品の説明書きの一部に次のような表現があった。

"**** chrome favors are solid chrome-with a notable weight and lasting quality."
「****(当社の)のクロム製引き出物商品は、しっかりとした重みと耐久性のある硬度クロムメッキ加工が施されたものです。」(通例硬度クロムは金属のメッキ加工に用いられる)

 ここで興味深いのは、しっかりとした「重み」が引き出物[贈り物]に求められているようなニュアンスがあることだ。これは、日本でも同様で、季節の贈り物でも軽めになりがちな干菓子などよりも、重みのあるジュース・ビール缶や缶詰類の方が人気があるということに近いのであろう。おそらく、「重み」≒「高級/高価(感)」であろうと思われる。

 筆者は日英言語文化的差異に注目することが多いが、今回の「(引き出物の)重み」に関しては、異質性よりも同質性が高いと言えよう。





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