九州を中心としてRoyal Chesterという婚礼を主な事業とする会場施設がある。(北関東にも一部あるようだ)
その名の通り、館内はどれもイギリス王室を意識した造りこみになっている。その施設を単体として見た場合、なかなかの造形美があり、美しいのだが、町並みとの整合性は気になるところだ。建築デザインにはそれほど詳しくはないが、どこか肉食系的なボリューム感がある。
ところで、デザイン以上に気になったのが、その名称である。
Royal Chester(ロイヤルチェスター)
確かにカタカナ語としての響きはよい。なんとなく、一般の方でも立派な名称であることは認識できるであろう。
Royalはしばしばメディアでもカタカナ表記されるように、イギリスなどの王室を意味する。語源もおそらく古フランス語のkingに相当する語であろう。
chesterは、サッカーで有名なManchester United(マンチェスターユナイテッド)や、Winchesterなどのように後置要素としても見かける。
chesterは、ローマ世界のlegion(軍隊;軍団)と関連し、"city of legion"(軍隊[軍団]の町→城砦[塞])ということらしい。castle(城)とも語源的なつながりがあるようだ。
そう考えると、Royal Chesterは「王の城砦[塞]」ということになろうか。
もっとも、当のロイヤルチェスターは、おそらく、chesterを地名から取り、「王の(町)チェスター」あたりのニュアンスを感じとって、そう名付けたのであろう。
ちなみに、Royalはpalace(王宮)、wedding(王室の結婚)、family(王室[家])、Navy(イギリス海軍)等、地名と結びつくことはそれほど多くはなく、地名との結びつきは磁器で有名なRoyal Copenhagenのように、ブランド名として用いられることが多いように思う。
2010年2月22日月曜日
2010年2月9日火曜日
dish
先日日頃お世話になっている編集者の方とdishの語源についてメールでやりとりする機会があった。
dishの語源discusを「円盤」とする辞書(大著の1つにあげられる大辞典)を引用しておられてたのだが、「円盤」という表現が気になった。確かに複数の辞書で、dishはdiscusに由来し、discusとはラテン語やギリシャ語のdisk[c]、つまり、「円盤」を指す。しかしながら、もしdisk[c]が「円盤」であるならば、dishが生活用品として使われ始めたころには「円盤」が日常に存在していたはずである。当時実在したギリシアラテンの世界における「円盤」とは何であったのであろうか、というのが私の疑問であった。
地中海の太陽を受けながら発達したということを考えると、太陽、それをうつしだす鏡、争いの用具であった楯などが「円盤」という認識をもつ可能性があるかと思われる。しかし、当時のdishが仮に円形であったとするならば、表面的な形状を表す「円」でよいわけであり、厚みのある立体的な「円盤」とする必要性はないように思う。
dishの起源を少し考えてみると、食べ物をそこに置いたり、食べ物を運んだりする必要性からdishが生まれてきたとするならば、必ずしも円形でも、円盤でもある必要はないであろう。少し厚みのある「平板」や「板の一片」、それこそ現代でも一部の地域で用いられているようなしっかりとした大きな葉でもよいのである。形状は四角でも三角でもかまわないであろう。実際、discusにはplatterが含意される。つまり、plateのことだ。
ちなみにドイツ語で皿にはplatte、schale、tellerなどの表現がある。schaleは英語のbowlに相当するがほかの2語はplateだ。
このように見ると、確かに複数の辞書にdishの語源discusを「円盤」とする記載はあるが、「平板」あたりがよいのではないかと思う。おそらく現代のdisk[c]の存在感が強く、しかも現代の多くの皿の形状と合致するので、「円盤」と結びつけやすかったということが推測される。
それにしても、“プロ”の編集者の方との言語と文化に関するやりとりは知的好奇心がかきたてられる。間違いなく、その編集者の方の言語と文化に対する情熱がそうした要因の一端になっているのであろう。そうした方にめぐりあえたことはまことに幸せなことだ。
dishの語源discusを「円盤」とする辞書(大著の1つにあげられる大辞典)を引用しておられてたのだが、「円盤」という表現が気になった。確かに複数の辞書で、dishはdiscusに由来し、discusとはラテン語やギリシャ語のdisk[c]、つまり、「円盤」を指す。しかしながら、もしdisk[c]が「円盤」であるならば、dishが生活用品として使われ始めたころには「円盤」が日常に存在していたはずである。当時実在したギリシアラテンの世界における「円盤」とは何であったのであろうか、というのが私の疑問であった。
地中海の太陽を受けながら発達したということを考えると、太陽、それをうつしだす鏡、争いの用具であった楯などが「円盤」という認識をもつ可能性があるかと思われる。しかし、当時のdishが仮に円形であったとするならば、表面的な形状を表す「円」でよいわけであり、厚みのある立体的な「円盤」とする必要性はないように思う。
dishの起源を少し考えてみると、食べ物をそこに置いたり、食べ物を運んだりする必要性からdishが生まれてきたとするならば、必ずしも円形でも、円盤でもある必要はないであろう。少し厚みのある「平板」や「板の一片」、それこそ現代でも一部の地域で用いられているようなしっかりとした大きな葉でもよいのである。形状は四角でも三角でもかまわないであろう。実際、discusにはplatterが含意される。つまり、plateのことだ。
ちなみにドイツ語で皿にはplatte、schale、tellerなどの表現がある。schaleは英語のbowlに相当するがほかの2語はplateだ。
このように見ると、確かに複数の辞書にdishの語源discusを「円盤」とする記載はあるが、「平板」あたりがよいのではないかと思う。おそらく現代のdisk[c]の存在感が強く、しかも現代の多くの皿の形状と合致するので、「円盤」と結びつけやすかったということが推測される。
それにしても、“プロ”の編集者の方との言語と文化に関するやりとりは知的好奇心がかきたてられる。間違いなく、その編集者の方の言語と文化に対する情熱がそうした要因の一端になっているのであろう。そうした方にめぐりあえたことはまことに幸せなことだ。
2010年2月3日水曜日
寿
日本では、郵便で相手方に返信を求める場合、自分の名前の下方に「行」と書く習慣がある。そして、相手方はその「行」を斜線などで消して、「様」を書いて出すのが通例だ。
お祝い事の場合、一般的な斜線ではなく、「寿」で消す[上から書く]ことがある。また、返信はがきの裏面に出欠の確認がある時は、「ご出席」の「ご」も「寿」で消すことがある。
もちろん、斜線でもかまわないであろう。いわゆる文字的なコミュニケーション上、全く問題はない。ただ、より丁寧、より祝福の気持ちを表すという意味では、「寿」を用いられていると、とても心美しい感じを受ける。そうした、単なる文字的な、そして言葉のやり取りだけではないのが、日本語文化の本質の1つなのかもしれない。言葉を大切にし、言葉を介して日々の平穏で、幸福な生活を願うという、日本語が世界に誇れる言語文化の一端であると思う。
ところで、「寿」とは、辞書的には、「言葉で祝うこと」、「長命」、「祝い事」などの意味がある。英語では、訳しにくいものの1つと言えるが、辞書的にみると、"felicitation"(お祝いの言葉を述べること)、"congratulation(s)"(祝いの言葉)、"happiness"(幸福)あたりであろうか。こうした表現は、状況に応じて使い分ける必要がある。なお、"congratulation(s)"は「努力して成し遂げたことに対する言葉」なので、結婚の場合、もともとは男性に対してかける言葉であったという。現在は男性女性ともに用いているようだ。(アンカーコズミカ英和辞典"congratulation"の項参照) これは、かつては結婚が男性側による努力の賜物であったということの表れであろう。日本の社会では、恋愛や結婚に積極的でない「草食系男子」という若者が“増殖”しているという。言葉の本質を知ると、彼らの結婚に"congratulations"と声をかけていいものかどうか考えてしまう。
現在メディアが盛んに用いている「婚活」の様子、とりわけ、「肉食系女子」の様子を見ていると、結婚する[までこぎつける]のは、それはまさに"Congratulations"であろう。この意味において、現代社会では、「寿」="Congratulations"と言えるのではなかろうか。。。
お祝い事の場合、一般的な斜線ではなく、「寿」で消す[上から書く]ことがある。また、返信はがきの裏面に出欠の確認がある時は、「ご出席」の「ご」も「寿」で消すことがある。
もちろん、斜線でもかまわないであろう。いわゆる文字的なコミュニケーション上、全く問題はない。ただ、より丁寧、より祝福の気持ちを表すという意味では、「寿」を用いられていると、とても心美しい感じを受ける。そうした、単なる文字的な、そして言葉のやり取りだけではないのが、日本語文化の本質の1つなのかもしれない。言葉を大切にし、言葉を介して日々の平穏で、幸福な生活を願うという、日本語が世界に誇れる言語文化の一端であると思う。
ところで、「寿」とは、辞書的には、「言葉で祝うこと」、「長命」、「祝い事」などの意味がある。英語では、訳しにくいものの1つと言えるが、辞書的にみると、"felicitation"(お祝いの言葉を述べること)、"congratulation(s)"(祝いの言葉)、"happiness"(幸福)あたりであろうか。こうした表現は、状況に応じて使い分ける必要がある。なお、"congratulation(s)"は「努力して成し遂げたことに対する言葉」なので、結婚の場合、もともとは男性に対してかける言葉であったという。現在は男性女性ともに用いているようだ。(アンカーコズミカ英和辞典"congratulation"の項参照) これは、かつては結婚が男性側による努力の賜物であったということの表れであろう。日本の社会では、恋愛や結婚に積極的でない「草食系男子」という若者が“増殖”しているという。言葉の本質を知ると、彼らの結婚に"congratulations"と声をかけていいものかどうか考えてしまう。
現在メディアが盛んに用いている「婚活」の様子、とりわけ、「肉食系女子」の様子を見ていると、結婚する[までこぎつける]のは、それはまさに"Congratulations"であろう。この意味において、現代社会では、「寿」="Congratulations"と言えるのではなかろうか。。。
2010年2月2日火曜日
インクジェットプリンター
いよいよ年度末がやってきた。
毎年のことではあるが、このころになると、予算消化で細かい作業が増える。
今年度分の予算がまだ残っているので、劣化してきたインクジェットプリンターを買い換えようと思っている。
インクジェット式のインクには、一般に2つあり、顔料系と染料系と呼ばれるものである。一般ユーザーとしての印象からは、顔料系インクは黒などの定着がよく、それほど紙質を選ばなくてもいいようだ。いわゆるインクジェット専用紙でなくとも、十分な印字品質が得られるらしい。配布資料など、主にモノクロ印刷が多い場合、こちらがいいように感じる。
一方、これまで使っているものは染料系インクであり、先の専用紙を用いると、とても鮮やかな色合いを示してくれる。特に写真画像に向いているようだ。
補助教材や配布資料作成が主な用途になるということを考えると、今回は顔料系インクのプリンターを購入しようと思う。
顔料系プリンターでは、HPやリコーなどの評判がよいが、全色顔料で、カードや名刺サイズにも対応したE社のプリンターが有力な候補になりそうだ。
なお、顔料系インクとは、英語でpigment ink、染料系インクは、dye inkとそれぞれ言う。pigmentとは、ラテン語のpingere「染める、着色する」から来ており、paintやcolorの関連語である。
毎年のことではあるが、このころになると、予算消化で細かい作業が増える。
今年度分の予算がまだ残っているので、劣化してきたインクジェットプリンターを買い換えようと思っている。
インクジェット式のインクには、一般に2つあり、顔料系と染料系と呼ばれるものである。一般ユーザーとしての印象からは、顔料系インクは黒などの定着がよく、それほど紙質を選ばなくてもいいようだ。いわゆるインクジェット専用紙でなくとも、十分な印字品質が得られるらしい。配布資料など、主にモノクロ印刷が多い場合、こちらがいいように感じる。
一方、これまで使っているものは染料系インクであり、先の専用紙を用いると、とても鮮やかな色合いを示してくれる。特に写真画像に向いているようだ。
補助教材や配布資料作成が主な用途になるということを考えると、今回は顔料系インクのプリンターを購入しようと思う。
顔料系プリンターでは、HPやリコーなどの評判がよいが、全色顔料で、カードや名刺サイズにも対応したE社のプリンターが有力な候補になりそうだ。
なお、顔料系インクとは、英語でpigment ink、染料系インクは、dye inkとそれぞれ言う。pigmentとは、ラテン語のpingere「染める、着色する」から来ており、paintやcolorの関連語である。
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【お知らせ】研究ブログを移動しました!
本研究ブログの容量がいっぱになりましたので、新研究ブログを立ち上げました。 心機一転、研究ブログを再開したいと思います。引き続きどうぞよろしくお願いします。 新研究ブログは こちら
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■茶会における主たる[最上位の]客のことを「正客」(しょうきゃく)と言い、その連れの客(正客と一緒にもてなし受ける客)のことを「相伴」(しょうばん)と呼び、正客の相手をつとめ、同様にもてなしを受ける、という意味としても用いる。 お茶席では、まず正客に(濃茶であれ、薄茶であれ...
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■以前にも取り上げたが、千利休の教え[茶の心得]である利休百首におさめられているものに 「 稽古とは一より習ひ十を知り十よりかへるもとのその一 」 というのがある。これは、日々精進を重ね、一から十まで習ったとしても、またはじめての一に立ち返ることで、習得したことに...
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