2013年5月26日日曜日

茶の湯のことば―懐紙




■お茶席では「懐紙」は必需品である。茶碗の口元を拭ったり、菓子をのせたり、さまざまな用途がある。洋服が主流となり、「懐」がなくなった現代社会においても、「懐紙」は使い勝手がよい。例えば、食事の席で、おかず等を手で受けながら[手皿,手盆]口元に運ぶ方を見かけるが、本来これはおすすめできるものではない。口元からこぼれ落ちた際に、手を拭う動作が見苦しいと判断されるからであろう。「そんなことは気にしない」と言われてしまえばそれまでだが、手皿をするようなマナーを意識している(であろう)方であれば、よりスマートな所作を心がけたいものだ。そのような時に便利なのが「懐紙」である。「懐紙」をさっと取り出し、受け皿として使うことができる。こぼしてもそのまま一番上の懐紙をとって包み隠すことができる。* また、おしぼりやナプキン代わりに使えるほか、ちょっとした取り皿代わりとしても用いることができる。さらに、折りたたむことで飲み物のコースターとしても可能だ。魚の頭部や骨の食べ残しが汚らしいと感じる場合は、懐紙で隠すようにすることもできる。懐紙はしっかりとした和紙でできているので、菓子類のお持ち帰り用の袋[ポチ袋]代わりにもなる。
 懐紙ひと束は1帖、2帖と数え、通例130枚入りで100150円程度である。また、男性用・女性用の別があり、男性用はひとまわり大きいつくりになっている。懐はなくとも、帛紗ばさみなどに収め、(紳士淑女のたしなみ?としても)常備したいものである。■

*通例「懐紙」は1帖(ひと束)取り出し、臨機に1,2枚ごとめくり取るように使うと良いであろう。その際、わさ(折り目側)を手前にすると良い。お茶席ではわさを手前に横にして菓子をとる。


【お知らせ】研究ブログを移動しました!

 本研究ブログの容量がいっぱになりましたので、新研究ブログを立ち上げました。 心機一転、研究ブログを再開したいと思います。引き続きどうぞよろしくお願いします。 新研究ブログは こちら