2012年12月5日水曜日

くびれ


■先日の京都出張の合間に、日頃の規制食を一時解禁し、久しぶりに京料理に舌鼓を打った。同僚の先生方との昼食会では京湯葉をいただいた。京都らしい町家づくりの店構えに、入店前から気持ちが少し高ぶった。仲居さんの対応も好意的で、ちょっとした食前酒代わりになるほどであった。注文後、ほどなくして、食事が運ばれてきた。数種類の小鉢から構成される京懐石弁当風の料理は、どれも美味で、ダイエット中の筆者にはちょうど良いサイズの黒ごま豆腐プリンを食す頃には、京都の味で体内が浄化されたような気分になった。
 帰りの新幹線内でも京のおばんざい弁当をいただき、食欲は京都で十二分に満たされたのだが、帰宅後、我に返り、すぐに体重等のチェックをおこなった。幸いにも、大きな変動は見られず、ほっとした。ただ、ほんの少しだけ、わき腹の肉がもたついているような感じがした。そこで、ちょっと気になったことが、こうしたわき腹の無駄な贅肉のことをしばしば英語でmeatというが、その逆、つまり、「くびれ」に相当する語*は何であろうか、ということである。確かにこれまでの経験上「くびれ」にあてはまる語は聞いたことがなかった。通例美しい「くびれ」のある方に対しては、"a shape like an hourglass"(砂時計のようなスタイル)や"bottle"((コーラのような)瓶に似たスタイル)というが、それは「くびれ」部分だけを指しているのではなく、体型のことを言っている。そこで、これはかなり俗語的で、教育上好ましくないかもしれないが、女性の丸みを帯びた曲線(美)のことを"love curve"**ということがある。但し、"love curve"は、正面から見た際に強調される「くびれ」部分のみならず、横から見た際にも強調される胸[バスト]と腹部まわりとの差によって生み出される(腹部まわりの)曲線(美)も含まれており、必ずしも(わき腹を主とする)「くびれ」の曲線だけではない。それでも、"love curve"は、女性特有の曲線(美)と言える「くびれ」に最も近い表現の1つに思える。ちなみに、ダイエット的に好ましいと考えられる「くびれ」は、ウェスト:ヒップ比である程度観察できるそうだ。ウェストサイズをヒップサイズで割り、その値が0.7であれば、女性的な美しいウェストラインや「くびれ」がある、と言えるというものだ。男性は骨格の関係で女性のような極端な「くびれ」は出ないが、いわゆる「メタボ」に対する目安として、同比が0.9であることが望ましいとされているそうだ。
 なお、先のわき腹の贅肉のことを"love handles"、すなわち、異性が好意を示す際に両手で(ハンドルのように)握れるほどの贅肉、と言うことがある。興味深いことである。■

*『スーパー・アンカー和英辞典』(第2版)では、「くびれたウェスト」のことを"wasp waist"「スズメバチのようなウェスト」と言うことを紹介している。これは主にウェストを絞ったファッションのライン[デザイン]を指すことが多い。特に19世紀頃のイギリスをはじめとするヨーロッパでは、(wasp waist) corsetやgirdleで腰を絞ったファッションが上流階級を中心に流行していた。これは、腰を絞り、胸と尻回りをより強調することで、feminine beautyを醸し出そうというねらいがあったものと考えられる。
  
 wasp waist corset (1885)
したがって、(例えば)ビキニ姿の(くびれがある)女性に対してはこの語を用いることはそれほど多くはないものと考えられる。その他、"pinched-in"といった表現もあるが、これは(ウェスト部を)挟んだ[つまんだ]ような形という意味で、無理に絞り込んだというニュアンスが残り、feminine beautyに欠ける。
**Urban Dictionaryでは、"love curve"を”The soft concave curve found on both sides of the waist in young females with hourglass shaped figures."と定義しており、これは(女性の)ウェストの両側を指す、と解釈できる。



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