2011年11月13日日曜日
Culturomicsから言語文化解析学へ
検索サイトで有名なGoogleが英語とドイツ語の文献をデータベース(コーパス)化し、そこからあるキーワードを抽出することで、政治経済から社会文化の潮流までを探ろうという試みを行っている。これは、コーパス言語学的アプローチにみられる定量分析の一種と考えられ、コーパスに関心のある研究者であれば、その有用性は理解できるであろう。英語では、"Culturomics"と呼ばれ、文化を意味するcultureと経済政策などを表す後置要素-nomicsとが連結してできた造語である。メディア等に投影される社会現象の中で、文化的特性を探るのがcultural sociologyと呼ばれる分野であるのに対し、社会の変遷は言語記述によっても観察できるという立場のもと、膨大なテキストのデータベースから文化(の一端)を数値的に解析しようとする新しい学問分野と言える。こうした点から、文化社会学(cultural sociology)、文化経済学(cultural economics)、カルチュラル・スタディーズ(cultural studies)と明確に区別して、Culturomicsに言語文化解析学という表現をあててみたい。単に文化解析学という表現でも、その内容を反映するものと言えよう。
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