2013年12月4日水曜日

茶の湯のことば―縁(へり)


■今日、顧問を務める茶道部の稽古に、現在本務校に留学中のフィンランド学生数名が参加した。フィンランドは(比較的)親日とは聞いていたが、いずれの学生もある程度の茶道に関する予備知識があったのには驚いた。日本語も速やかに覚え、「お点前頂戴致します」もきれいな発音であった。また、多くの欧米人が苦手とする正座も難なくこなしていた。もっとも、ある一定の時間内ではあったが。。
 そのうちのひとりが興味深い質問をしてきた。何故、畳の縁(へり)は踏まず、避けて[またいで]歩くのか、というものであった。一般家屋において畳の縁を避ける理由は、1)構造上痛みやすい箇所だから、2)(かつての武家屋敷などにおいて)忍者が床下から縁の隙間をねらって刀を刺したことの名残から、3)縁は高貴さの象徴で、紋様入りのものなどがあったから、4)かつての縁そのものが高さがあり、つまづかないようにしたから、等々があるとされている。筆者は、茶道の精神にある5)(客と主人、神聖なる世界と俗世間などとの)結界[境界]としての意味があり、それを避けるため、という説明をした。茶扇子の扱いに関しても、同様の説明をした。我々が当たり前のように、何気なくふるまっている行為なり、所作なりに対しても、異文化からの目から見ると疑問に思うようだ。こうした客観的な指摘というものは、国際交流ならではのことである。有難いことだ。■


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