2013年5月25日土曜日

日英言語文化小論(13)【busser(s)】




■いま北米、特にノースダコタ州は、シェールガスによってもたらされている収益や雇用により、大変潤っているそうだ。さながら、ニューゴールドラッシュのようだ。ある番組では、2DKの賃貸アパートが月30万円相当になるなど、住宅供給が追い付かないほどの状況らしい。それだけヒトとカネが動いているということだ。当然シェールガスに従事する方用のサービス産業もにぎわうことになる。ノースダコタ州の失業率は1%を切るほどだ。そうした中で、シェールガス採掘場近くのあるレストランで、

Now Hiring Servers and Bussers

という求人広告を見かけた。上記のserver(s)は、従来用いられていたwaiterwaitressに代わり、PC[political(lly) correctness](政治的妥当性)の観点から、性差を醸成しないような配慮として生まれた表現である。一方、busserも同様な流れの中で、かつてのbus boyに由来する語であり、動詞busには「テーブルから食器類を下げる」という意がある。そのbusserとは、serverの補助[アシスタント]として、食器を下げたり、皿洗いなどの(きつい)仕事も担当したりする従業員のことを指す。主にアメリカで用いられる表現と言えよう。英和辞書類では、「給仕」の意でのserverが収録されるようになっている現在、同様にbusserもそろそろ取り上げられるべきと思う。(busserを収録している辞書は少ない)
なお、最近の日本の求人募集欄を見ると、「ホールスタッフ」や「サービススタッフ」としているところが多い。「ウェイター」、「ウェイトレス」、「スチュワーデス」等の性差に関する言語表現上の諸問題については、拙論「言語と文化の不可分性―職業名の場合」(『ふじみ』通巻第21号、平成1112月)で考察している。■


*上述のノースダコタ州の求人広告とは関係なし。



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