2020年5月28日木曜日

コロナ禍の対日評価(3)

 日本のコロナ対策は、不可思議に捉えられているものの、一定の評価は得られている印象だ。今度は、緊急事態宣言の解除をうけて、アメリカの有力紙ワシントンポストが関連記事を掲載している。

On Monday, Japan lifted the state of emergency over the greater Tokyo area, effectively ending the country’s soft lockdown. New infections have slowed to a trickle and hospital beds have been freed up. There is, finally, light at the end of the tunnel.
Now Japan is getting ready for what it’s calling a “new lifestyle,” an idiosyncratic attempt to restart daily life without provoking another increase in infections.
[Washington Post  May 25, 2020] ※以下、同じ

 今週月曜の東京をはじめとする首都圏の緊急事態宣言解除をうけての内容である。まず、厳密な法的制裁もなく、あくまで要請にとどまっていた飲食店等の休業措置や人々の外出自粛などはsoft lockdownと評されている。そのおかげもあり、トンネルの先に光が見えはじめている、つまり、ある意味感染爆発や急激な感染ピークは乗り越えたのでは、という指摘であろう。その一方で、政府が提言する「新しい生活様式」については、an idiosyncratic attemptとして、(欧米とは)特異で独特な試みがなされようとしていると報じている。

It is a uniquely Japanese approach to containing the virus based on request, consensus and social pressure rather than government edicts and legal sanctions, but it’s one that has had some success despite initial blunders and botched communication from Prime Minister Shinzo Abe.

さらに、"uniquely Japanese approach"として、日本特有の(特異な)対策であるとしている。その中で、あくまでも要請であり、consensus and social pressure(国民の(統一された)意識や社会的な圧力[世間の目])が(欧米流の)法的強制力よりも効果的であったという評価と言える。

But there were unheralded successes, too. Universal health care allowed Japan to detect cases early, even in remote rural areas, at a time when the virus appears to have been spreading undetected in Europe and the United States.

メディア等ではそれほど取り上げられていないが、日本の国民皆保険制度も、日本の新型ウィルス対応の成果にひと役買っていた点に注目している。特に欧米で((高額医療費等の問題があり)検査による確認がされないままに)感染が拡大しつつあるころにおいて、すでに日本ではある程度初期対応がなされていたのではないかという指摘である。

The messaging began to improve, drilled home by regional governors, who have played a leading role in the virus response, while the deaths of popular comedian Ken Shimura and actress Kumiko Okae woke the public to the dangers of the virus.

いわゆる3密を避け、手洗い、消毒、うがい等が各都道府県知事の音頭により実践されたことも効果があったという指摘である。その一方で、志村けんさんや岡江久美子さんの訃報も、国民の新型ウィルスに対する意識に影響を与えたとしている。

 さて、なんとか(目に見える)感染拡大や(政府が当初からねらいとしていた)医療崩壊は回避できたと評価してよいであろう。これから来るであろう第2波にむけて、日本の実力が試されるときである。


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