2020年5月27日水曜日

コロナ禍の対日評価(2)

 緊急事態宣言の解除を受け、その際の安倍首相の会見内容の影響もあるだろうが、日本政府のコロナ対策に関する評価のコメントがここ数日よく聞かれるようになった。特に海外からの評価を紹介するメディアの中で、以下の記事が興味深いと感じた。なお、以下は原文に解説的な部分意訳を付したものである。

1
In its battle with the coronavirus, Japan appears to be doing everything wrong. It has tested just 0.185 percent of its population, its social distancing has been halfhearted, and a majority of Japanese are critical of the government’s response. Yet with among the lowest death rates in the world, a medical system that has avoided an overloading crisis, and a declining number of cases, everything seems to be going weirdly right.
[Foreign Policy  May 14, 2020]※以下、同じ
コロナ対策において、日本(政府)は、(一見すると)それほどうまく対応しているようではない。実際、検査率は人口の0.185%であり、社会的距離(を確保するための対策)も中途半端、安倍政権に対する国民の評価も厳しい。それでも、世界的に見てきわめて低い新型ウィルス関連の死亡率、医療崩壊の回避、減少傾向にある感染者数など、新型ウィルスへの対応は、奇妙だが総じてうまくいってると言ってよいであろう。

2
The results have been impressive. As of May 14, Japan had 687 fatalities directly attributed to COVID-19 nationwide, equal to 5 per million people. That compares with a total of 85,268 deaths, or 258 per million, in the United States and 584 per million in Spain. Even Germany, seen as another success story in the pandemic, has 94 deaths per million.
(安倍政権の当初からの検査数を極力抑え、医療崩壊を防ぐとともに、死亡者を上げないという対策は)結果を見る限り効果的であったと言える。アメリカやスペインの死亡者数と比較すると圧倒的に少なく、コロナ対策の(日本以外の)もう1つの成功事例と言えるドイツと比べても少ない。

3
These almost miraculously low figures come despite Japan being close to China, with a large number of tourists. It is also the world’s fastest-aging society—yet has escaped, it seems, being severely hit by a virus that is particularly deadly to older people.
多くのインバウンド観光客が押し寄せる中国と近接しているにもかかわらず、(上掲の)死亡者数は奇跡的に低い数字となっている。

4)
In general, however, Japan’s culture of concern for others, keeping a distance, avoiding handshakes, and good personal hygiene appears to have played a significant, if difficult to measure, part in the low numbers. 
日本文化の他者への配慮、社会的距離、握手を避ける(お辞儀の)慣習、個々人の高い衛生意識が、これらは明確に検証し難い面があるとしても)低い感染率や比較的少ない新型ウィルス関連死亡者数に影響しているものと考えられる。

 このように、2) impressive, success storyのような高い評価がなされている一方で、1) weirdly, 3) miraculously, 4) if difficult to measureといった表現を見ると、この21世紀に入っても、世界、とりわけ欧米から見れば、日本は極東の不思議な国と捉えられている印象を持たざるを得ない。換言すれば、日本のコロナ対策は成功事例と言えるが、それは我々(欧米)には到底真似のできそうにないことだ、といったところであろう。




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