2012年10月21日日曜日

sign, autograph, and signature


■日本人学生が間違えやすい語の1つにサインがある。頻出する事例は、有名人に対する「サインください」や、入室や支払いチェックの際の「サインお願いします」等の「サイン」である。通例サインはsignという英語に由来するものと考えられるが、カタカナ語としてのサインは、上述したように複数の場面で用いることができる。しかしながら、英語では場面に応じた単語を用いることになる。まず、有名人に対する「サインください」は、autographを用いて、"Can I have your autograph?"等と言う。また、入室や支払いチェックの際の「サインお願いします」は、signatureを用いて、"Put your signature here, please?"などと言える。それでは、英語のsignはどのような場合が多いであろうか。一般的にはtrafffic sign(s), caution sign(s), stop sign(s), closed sign(s)のように、公に(不特定多数を対象に)何らかの情報を周知する目的で用いられるものに対しsignが使われる。つまり、signは共通のメッセージを含む記号や符号のようなものと考えられる。ちなみに、手話も英語ではSign languageという。こうした点から、個人を対象にしている上記2つのサインの事例にsignが不適切であるということは明らかであろう。
 それでは、autographとsignatureの違いは何であろうか。いずれも個人の署というニュアンスは感じ取れるであろうが、そこには幾分か差異がある。まず、autographはauto「自の」とgraph「書いたもの」が結びついたもので、現代社会ではほぼ有名人の自筆の署、つまり「サイン」という意になっている。それに対し、signatureは手書きによる自分の名前ということで、しばしば公の書類上に記名することを指す。つまり、autographは限定的にある特定の人物の自署であり、signatureは他者と区別し、人物を特定するための公的なニュアンスを含む自署、ということになろう。なお、signatureは「他者と違う、その人特有の・・・」という意で特にスポーツの世界で用いられることが多い。例えば、"a signature player"と言えば、あるチームの「看板選手、顔」ということである。また、"signature play"と言えば、ある特定の選手の「お得意の[その人らしい]プレー」ということになる。さらに"signature moment"であれば、「(最も)印象的な瞬間[時]」となる。■

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