2012年10月28日日曜日

和敬清[静]寂


■昨日、本日と本務校の学園祭が行われた。顧問を務める裏千家茶道部も茶席を設け、学生部員が日ごろの稽古の成果を披露した。特に稽古期間の短い新入部員の堂々たる点前には、外部講師の先生とも驚きを隠せなかった。若い学生の習得力は本当に素晴らしいものだ。
 そうした中、本務校と産学連携を締結している地元金融機関の方から、「和敬清寂」について質問を受けた。筆者も茶道に携わる身としてその意味は理解していたが、その由来に対する認識は十分ではなかった。最初は仏教[禅宗]の教えであり、日本文化を投影するものである、という回答をさせていただいた。必ずしも茶道の教えというわけではない、ということも付け加えた。ところが、外部講師の先生に確認したところ、 千利休の教えである「四規七則」に基づくものであり、利休居士が唱えた茶道の心であるということであった。確かにその通りである。個人的には茶道の精神の礎には仏教[禅宗]があり、その仏教[禅宗]の普及とともに、茶道も広がり、1つの“道”として確立されてきたのであろうという理解であった。つまり、茶道理念としての「和敬清寂」の背景には、仏教[禅宗]があるという意識が強すぎたのかもしれない。そこに、上述したような「和敬清寂」は茶道の教えだけではない、という不適切且つ軽率な回答をしてしまった原因があったのであろう。
 再度確認するが、茶道は仏教[禅宗]の心の持ち方と強い関わりを持ちながら発展し、利休居士によって和(周囲と調和し)、 敬(相互に敬い礼を尽くし)、清(心清らかに)、寂(心穏やかに動じず)という茶道の心得四則が提唱され、これが茶道の基本精神になった、という理解で良いであろう。幸い、質問された方と学内でまたお会いでき、名刺交換する機会が得られたので、あらためて先の失礼な回答をお詫び申し上げた。こうしたことも茶道を通じた1つの“ご縁”かもしれない。あいにく小雨が降り続いていたが、心の中は清らかな1日を過ごすことができた。外部講師の先生、学生諸君、歩み寄って質問してくださったT氏、ご来場してくださったみなさまに感謝する。■

 ※平成24年度学園祭出展・裏千家茶道部茶席(御園棚)

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