2014年1月1日水曜日

茶の湯のことば―茶扇子


■茶道では、袱紗同様、男性用と女性用の別がある。通例男性用は六寸、女性用は五寸である。茶道では、扇子は重要な道具の1つであり、様々な場面で用いられることになる。常に携帯し、挨拶の時などでは、必ず扇子を前に置き、一歩控える、という意味を成す結界の役割として用いられる。
 紙が貴重であった平安時代には、ちょっとしたメモ書き用に「木簡」(短冊上の木片)を用いることが多かったが、しばしば書き留めた木簡がバラバラと散らばり、整理し難いという状況が発生したものと考えられる。それを、紙縒[こより](細長く切ったを紙をよりあわせて紐状にしたもの)で結び合わせたものが扇子の原型とされている。つまり、扇子は現代における手帳のようなものであったと言える。 その後、メモだけでなく、絵なども書き、装飾用へと発展していったものと考えられている。
 年末年始、テレビではいわゆる時代劇が放送される機会が多いが、装飾品に目を向けると、時の(戦国)大名が大ぶりの扇子を持っているシーンがでてくる。これは扇骨(親骨)が鉄でできた鉄扇と呼ばれるもので、武士が護身用に携帯していたものである。そのほか、能における仕舞扇、日本舞踊における舞扇、慶事弔事で用いる式服扇、単に飾り付け用の飾り扇などがある。なお、茶扇子は、通例開いて使用することはなく、閉じたままご挨拶や拝見などに用いる。但し、先生などにお礼等をお渡しする際には、扇子を開き、その上にのせることがある。■

(京都)宮脇賣扇庵製・干支茶扇子 ※撮影用に開扇

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